無敵モード

自分バトルフェイズ中、このカードは戦闘では破壊されず、 このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

夜桜

夜の帰り道、家の近くまで来てふと顔をあげたら、桜が綺麗に咲いていた。

 

桜の木は、近所に住んでいる、Nさんというお婆さんの家の庭に生えていた。背筋をきちんと伸ばし、髪の毛を整え、お化粧をし、綺麗な花柄のスカートを履いていた。とうに80歳を超えていたが、とても若々しい人だった。

 

小学校の入学式の日、その桜の木の前でNさんに写真を撮ってもらったのをよく覚えている。ずっとニコニコしていて、可愛らしい人だった。生涯独身であったから、子どもの顔を見るのが楽しかったのかな、と今では思う。

 

そんなNさんの姿を見なくなったな、と気づいたのはつい3ヶ月ほど前だった。そのときは、もう高齢だし、あまり外に出なくなったのかな、と思う程度で、気にかけることはなかった。Nさんが病気や怪我をしたとか言う話も聞かなかったし、会うといつも元気でニコニコしているイメージしかなかったからだ。

 

つい先日母から、Nさんが3年も前に亡くなっていたことを聞いた。

 

母も、Nさんが亡くなっていたことに気づいておらず、買い物先で友人から話を聞いて初めて知ったのだという。

 

Nさんが最後までちゃんとしていたから、そんなイメージがなかったんだと、自分に言い聞かせてはいるが、どうしても胸のモヤは晴れない。

 

僕はときどき、インターネットで仲良くしてくれてる人が急に亡くなったりしたら知る手段がないよなぁ、寂しいなぁとか考えることがあった。しかし、つい目と鼻の先に住んでいる人が亡くなっていたことにさえ気づかなかったのだと、そのことに少なからずショックを受けた。

 

主を失った桜は、それでも力強く、綺麗に咲いていた。