無敵モード

自分バトルフェイズ中、このカードは戦闘では破壊されず、 このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

家長むぎとその理想

リスナーとの距離感は、配信者に常につきまとう問題です。

 

たとえば、昔の配信での面白い発言がコメントとしてテンプレート化して、いつもそのコメントが画面を埋め尽くすようになると、初見さんは背景が理解できなくて面白さを感じられないし、人を遠ざける一因にもなります。それを嫌って、配信者がやめようね、と注意喚起することは、それほど珍しい光景ではありません。

 

また、Twitter等でのファンとの交流も、一定のルールを定めている配信者がほとんどです(リプ返は○分までに来たものに返す、名前にファン名を付けている人にフォローバック、等)

 

これらのルールやマナーを定めることは、一見するとファンを遠ざけるようにも見えますが、結局は、長い目で見ると、配信者としての寿命を伸ばすことになります。明言・明記されたルールやマナーをしっかりと受け取って実践できる人が、ファンとして残ってくれた方が活動はやりやすいですし、リスナーのコメントを含めた、コンテンツとしての動画配信の質も上がることになるでしょう。

 

一番分かりやすい例としては静凛が挙げられます(というより、ほとんど彼女を念頭に置いてここまで述べていました)。彼女は配信やTwitterでリスナーに対してよく声掛けをしますし、フォローバック等もほぼ#凛famのみです。いいね等の貢献をしないようになったfamは容赦なくリムーブします。

 

傍から見ればとても厳しいのですが、そのおかげで、純度の高い凛famのみが厳選されて今まで生き残っています。静凛という配信者にとって活動しやすい場を、何ヶ月かかけて作り上げた手腕はさすがだな、と部外者ながらに思います。

 

一方で、ほとんどルールを定めず、全てを受け入れようとしている配信者も存在します。

 

家長むぎがその一人です。

 

同じママ(VTuberの担当絵師さんのことです)から生み出されたこの二人はとても対照的です。

 

家長むぎは理想論者です。「どんなにリスナーが増えても一人ひとりを見れるようになりたい」「手を伸ばされたら握り返せる存在でありたい」と幾度も語っています。リプライや名前を出したツイートをするようなアカウントはほとんどフォローバックします。リプ返タイムは定期的に設けますが、そうでなくても割とリプライは返ってきますし、いいねはだいたい毎回付きます。

 

配信でも、コメントを読みながら会話をすることが多く、自分の発言で傷ついた人がいると思えば、謝罪をします。我々に何か行動の改善を求めることはあまりありません。家長むぎがリスナーに求めることは、「むぎのお友達であること」ただそれだけです。

 

何より特筆すべきなのは、5月頃販売していたボイスセット購入特典。特典の内容は、ボイスセットを購入した先着200人の、好きなものや名前を聞き、それについて5分程語るというもの。当然、彼女の負担は大きい。それでも、遅れながらも彼女はボイスを収録し、いまやっと、200人分の収録が終わりそうというところまで来ています。

 

重ねて言いますが、家長むぎは理想論者です。静凛のような徹底した現実主義とは正反対です。家長むぎの語る理想は、とても一個人が成し得るものではありません。実際、「言うこととは違って、リスナーを厳選しているのでは」と、本人に苦情のようなリプライが飛んでいたのを、私は見たことがあります。彼女は、語る理想と現実のギャップに苦しんでいるのでは、と、手の届く範囲だけ見ていればいいのに、と、勝手ながらに思ってしまうこともあります。

 

恐らく彼女の理想は配信としての寿命を縮めるものです。私は動画投稿者や配信者が好きで、引退する人も多く見てきましたから、彼女から漂う「死」の匂いを敏感に感じ取ってしまっています。先日の配信で、「もしもお友達全員を見ることができなくなったら、それはそのとき考えます」と言っていたことから、本人も本当は気づいているのかもしれません。

 

それでも、その理想を実現してほしいと思ってしまう自分もいます。家長むぎはとても危ういが、その危うさに、惹かれてしまった自分がいます。

 

仮に、彼女が配信者としての「死」を迎える日が来ようとも、その健闘を称えて惜しみない拍手を贈ろう、そうならないよう祈りながら、最後までずっと見守っていよう、と、そう思うのでした。